第107回全国高校野球選手権、南北海道大会札幌地区予選が22日に開幕し、ノーシードから13年ぶりの夏の甲子園出場を目指す札幌第一が、札幌北陵に11-1で7回コールド勝ちし、快勝発進した。先発したエースの半田悠投手（3年）が5回を3安打無失点に抑える好投で勝利に貢献。昨秋、今春と悔し涙をのんだ右腕が、精神的な成長を遂げて最後の夏に挑む。また札幌龍谷の中山汰一選手は5打数5安打を記録し、勝利に貢献した。
エース半田投手、5回3安打無失点の好投
開会式の余韻が残る札幌円山球場で、ノーシードながらプロ注目の145キロ右腕・半田悠投手を要する札幌第一が登場した。
半田投手が先発のマウンドに立つと、4回に2つの四球を出す場面もあったが、5イニングを投げて3安打無失点、5奪三振と抑えた。「夏の雰囲気というか、やっぱり秋、春とは違う」と、聖地をかけた戦いの独特な緊張感を味わいながらも、エースとしてきっちりと役割を果たした。
昨秋は東海大札幌に9回逆転サヨナラ負け、今春は北海に3点リードを守りきれず逆転負け。いずれも決勝点を与えたのは半田投手だった。両校がその後、全道優勝を果たしただけに、「弱さが出た際の一球。その一球が負けにつながっている。自分が粘れていれば」という悔しさを味わった。昨年11月に学校の修学旅行でシンガポールに行ったが、明治神宮大会での東海大札幌の戦いをライブで見ていたという。
春も結果を出せずにノーシードとなったこの夏、春季大会後には樋口優弥捕手（3年）と徹底的に話し合い、「打たれる未来が見えて、打たれたくないという悪い方ばかり見ていた」という精神的部分の課題を発見した。「際の場面は押していくしかない。ど真ん中だろうと投げ込んで方と意識が定まった」とし、夏に向けては強気の投球を見せる事で方針が固まった。菊池雄人監督（53）も「最後の夏、気持ちを持ってやってほしい」と期待をしている。
1年秋からエースナンバーを背負い、誰よりも経験を積んできた最速145キロ右腕、「さすがに3季連続支部負けは情けないので、自分が勝ちを持って来られるようなピッチングができたら。自分がマウンドを守り抜く。やるしかない」と話し、次戦の札幌光星戦へ決意の視線を向けた。
札幌龍谷学園・中山汰一選手も投打に大活躍
また、同日行われた札幌龍谷ｖｓ札幌月寒の試合では、札幌龍谷の2番・中山汰一内野手（3年）が投打にわたる大活躍を見せた。打撃では、本塁打が出ればサイクル安打達成という5打数5安打2打点の固め打ち。7回の第5打席では「少し意識してしまった」と言いながらも中越えの適時二塁打を放った。
また、先発投手が右前腕を負傷し降板すると、6回から2番手としてマウンドへ。公式戦2度目という登板ながら、4回を3安打2失点（自責0）に抑えて試合を締めた。投手歴は昨年秋からでまだ半年ほどというが、「肩に自信があったので」と最速137キロを記録する球を見せる。エースの故障は心配だが、中山投手が二刀流で最後の夏を燃焼する。
半田悠投手 プロフィール
- 氏名：半田 悠（はんだ ゆう）
- 所属：札幌第一高校（3年）
- ポジション：投手
- 投打：右投
- 主な特徴や実績：最速145キロの右腕。札幌第一のエース。2025年南北海道大会札幌地区予選初戦で5回3安打無失点の好投。昨秋、今春の地区大会での悔しさをバネに精神的に成長。「“際”の一球」を乗り越え、12年ぶりのノーシードから13年ぶりの夏の甲子園を目指す。1年秋から背番号1を背負う。
中山汰一選手 プロフィール
- 氏名：中山 汰一（なかやま たいち）
- 所属：札幌龍谷学園高校（3年）
- ポジション：内野手、投手
- 投打：右投左打
- 主な特徴や実績：2025年南北海道大会札幌地区予選初戦で5打数5安打2打点と、サイクル安打に迫る活躍。6回からはリリーフとして登板し、4回2失点（自責0）と試合を締める。投手歴半年ながら最速137キロを記録。中学から本格的に野球を始め、3年時に全国大会出場。
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