昨夏の甲子園準優勝校・日大三が、第108回全国高校野球選手権西東京大会の準決勝で創価に4―7で敗れ、2年連続の甲子園出場を逃した。プロ注目のスラッガーで主将の田中諒捕手(3年)は「3番・一塁」で先発し、4打数2安打2打点と存在感を示したが、チームを聖地へ導くことはできなかった。高校通算30本塁打を誇る右の大砲は、試合後にプロ志望を表明、この日は巨人のスカウトが評価をしている。
初回と9回に意地の適時打、諦めない姿勢で6点差を追い上げる
日大三は1回、失策が絡んで1点を先制されたが、その裏にすぐ反撃した。1死二塁の場面で田中諒捕手が低めの変化球を捉え、左翼へ適時打を放って同点に追いついた。しかし3回に連打を浴びて2点を勝ち越されると、7回には1~4番に4連打を許すなど一挙4失点。差を6点に広げられた。
7―1で迎えた9回裏。攻撃前には「まだいける」と声を掛け合い、6点差にも「俺らはひっくり返せるくらいの力はある」と全員で最後まで諦めない姿勢を共有した。言葉通り、福井選手、横田選手の連打で好機を作ると、代打・鈴木選手が左越え適時二塁打で2点を返した。なお2死一、二塁で田中捕手に打順が回る。「みんなが自分まで繋いでくれた。1点でも多く自分が返して、流れを持ってきて、追いついて、逆転できれば」と意気込んで迎えた第5打席、2球目の真ん中の直球を左翼へ引っ張り、二塁上で雄叫びをあげた。この適時打で4―7と追い上げたが、追い上げはここまでだった。
田中捕手はこの一打を「『自分が打ったんだ』っていうよりも、チームを盛り上げるためにも1本出て嬉しかった」と振り返った。試合直後は冷静だったが、ロッカー室でのミーティングを終えて最初に扉を開けて出てくると、180センチ100キロの巨体を震わせ激しく泣いた。「(昨年の)甲子園の決勝以上に悔しい。言葉にはならない」(デイリースポーツ)と、涙で言葉を詰まらせた。
SNS不祥事で活動自粛、本来のスイングは1度だけだった夏
日大三は2月、部員のSNS不適切利用により3カ月間の対外試合禁止処分を受けた。2月中旬から2カ月は活動自粛となり、春季都大会は出場を辞退。5月に対外試合が解禁され、今大会はノーシードから臨んだ。主将として春へ練習を本格化する時期に活動休止となり、田中捕手は自宅待機中にバットを振り続けた。
しかし、大会直前に田中捕手は左手のマメを見つめ「これじゃだめなんです」と顔を曇らせた。「去年の夏は、このマメが全部めくれて、その下から硬いマメができたんですが…」。今夏6試合で本来のスイングができたのは、初戦・翔陽戦の第3打席で中前に火を吹いた打球の1度だけ。「あのセンター前だけでした」(日刊スポーツ)と振り返った。
それでも田中捕手は活動自粛を言い訳にしなかった。「毎日バットを振っていた。自分が打てないのは2カ月間のせいじゃない、その2カ月間が終わってから今日までやってきて練習の意識が低かった」と自らを厳しく省みた。三木有造監督(52)も「選手はよくやってくれました。あきらめない選手を勝たすことができなかったのは、私の責任です」とし、「選手に大会に集中させる環境をつくれなかったという思いはあります」(日刊スポーツ)と慎重に言葉を選んだ。
「三高でなければここまで成長できなかった」、プロ志望届提出へ
敗戦を受け、田中捕手は進路について「プロに行きたいと思ってます」と、プロ志望届を提出することを明言した。ポジションを問われると「(プロでは)任されたポジションでやりたい」と力強く語った。田中捕手を視察した巨人・木佐貫スカウトは、その打力と希少性を高く評価した。
巨人・木佐貫スカウト:「長距離打者としてインコースをさばけるのはいいところ。捕手ができる強打者は希少性が高い」
主将として率いたチームを、田中捕手は「良いメンバー、最高のメンバーと野球ができた。最後こうやって諦めない姿勢ができたのは、本当に仲間のおかげ」と締めくくった。「野球部の活動ができない時期があって、それで今日までやってきました。自分は三高でなければここまで成長できませんでした。こんな仲間と野球がやれたことは忘れられません」(日刊スポーツ)。
今年の高校生で屈指の右の長距離砲、捕手としての評価はもう少し積み重ねたかったが、昨年プレーした一塁手としても素晴らしい動きを見せており、守備でも打席でも落ち着きがある。この夏のスイングは本来のものではなかったと思うが、日本を代表する屈指のスラッガーになっていくと思う。今春のチームの事件やこの夏の打撃などでドラフト会議での評価は割れる可能性はあるが、個人的にはドラフト2位以上の選手だと思う。
【田中 諒】 プロフィール
- 氏名:田中諒
- 所属:日大三高校(3年)
- ポジション:捕手(本大会は一塁も守った)
- 身長・体重:180cm、100kg
- 主な特徴や実績:高校通算30本塁打を誇る右の長距離打者で、昨夏の甲子園では2本塁打を放ち準優勝に貢献した日大三の主将。インコースをさばく長打力に加え、捕手としての希少性も高く評価される。今春はSNS不祥事による活動自粛を経験しながらも、ノーシードから準決勝まで勝ち進みチームを牽引した。巨人・木佐貫スカウトから「捕手ができる強打者は希少性が高い」と評価され、プロ志望届の提出を表明。次のステージでの飛躍が期待される。
















コメント