第108回全国高校野球選手権沖縄大会の決勝が7月20日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、昨夏の甲子園王者・沖縄尚学がエナジックスポーツに4-3で競り勝ち、2年連続12度目の夏の甲子園出場を決めた。今秋ドラフト1位候補の最速150キロ左腕・末吉良丞投手(3年)が2点リードの9回1死からマウンドに上がり、最速147キロの直球とスライダーで1点差の逃げ切りを締めくくった。
121日ぶりの復帰から中1日、9回のマウンドで最速147キロ
9回1死。DHで出場していた背番号10の末吉良丞投手がマウンドに向かうと、超満員の場内はこの日一番の大歓声に包まれた。先頭を見逃し三振に仕留めたが、3連打を浴びて1点差まで詰め寄られる。それでも動じることなく、2死一、二塁の場面で7球目のスライダーを空を切らせた。胴上げ投手となった左腕は左手を突き上げた。
4月ごろから左肘のコンディション不良が続いていた。今春センバツ後に左肘の靱帯を負傷し、比嘉公也監督から「我慢するのも野球」とノースローを指令され、回復が優先された。落ち込んだ時期もあったというが、前だけを向いてきた。今大会は背番号10で初戦からDH起用。全試合で安打を放って打率.421をマークし、4番も2試合任された。「打撃も強化できた」(スポーツニッポン)と胸を張る。この日も2回1死から左中間へ二塁打を放ち、打撃面でも非凡さを示した。18日の準決勝・名護戦で今春センバツの帝京戦以来121日ぶりのマウンドに立ち、6回2安打無失点。中1日での救援登板だった。
「キャッチボールのときから自分にベクトルが向いていると思った。マウンドに上がれてうれしかった。しっかり勝ち切ることができて良かった」(スポーツニッポン)と話し、この日は先発ではなく、なかなか登板が回ってこなかったものの、最後に登板の機会が来ると感じていたという。そして、この日計測した最速147キロについて「ワォと」と驚き、「去年の夏以降では一番調子が良かった」(スポーツニッポン)と手応えを口にした。自己最速まであと3キロ。完全復活を印象づける内容だった。
久高大瑚投手が台頭、新垣有絃投手も健在で投手陣に厚み
不調だった末吉投手の穴を埋めたのが、背番号11の左腕・久高大瑚投手(3年)だ。今夏は3試合に先発し、この決勝でも5回1失点と好投した。「末吉を治った状態で投げさせたい気持ちがあった」と胸を張る左腕は、練習で遠投を多めに取り入れて体を大きく使うことを意識し、準々決勝では自己最速の149キロも計測している。比嘉監督も「久高が凄く大きな役割を果たしてくれたと思う」と評価した。
6回からは久高投手を引き継ぐ形で、昨夏の日本一に貢献した背番号1の右腕・新垣有絃投手(3年)がマウンドへ。エナジック打線を抑え込み、末吉投手へとつないだ。
比嘉監督は甲子園でのエースナンバー争いについて「今のボールの状態だったら(甲子園は)末吉になるかなと思います」(スポーツニッポン)と話し、左のエース復活の可能性を示唆した。
“兄貴分”からの激励を胸に、史上7校目の夏連覇へ
末吉投手は昨夏の甲子園大会後、沖縄で開催された侍ジャパンU18ワールドカップに、2年生として唯一参加、事実上のエースとして日本代表をけん引し、銀メダル獲得に貢献している。その代表チームで弟のようにかわいがってくれたのが、横浜のエース左腕から今春ドラフト3位で千葉ロッテに入団した奥村頼人投手だった。
準決勝後、その“兄貴分”から連絡が届いた。返信すると、冗談交じりに「さすが日本代表のエースですよ」という言葉が寄せられた。昨夏の甲子園優勝も、日の丸を背負った日々も、左肘のけがから歯を食いしばってリハビリに励んだ毎日も、すべてが末吉投手の成長へのエネルギーになっている。
沖縄尚学が挑むのは、2004、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来となる史上7校目の夏連覇だ。「背番号10で終われない気持ちでやってきた。1番を取り返したい」。プロか進学かという進路については「今は何も考えていない」と甲子園に集中する構えを見せた。「プレッシャーは感じていません。少しでも貫禄を出していけるように、しっかり準備したい」と力を込めた末吉投手が、深紅の大優勝旗を再び沖縄へ持ち帰る夏が始まる。
【末吉 良丞】 プロフィール
- 所属: 沖縄尚学高校(3年)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投
- 主な特徴や実績: 昨夏の甲子園で2年生エースとして全国制覇の立役者となった最速150キロ左腕で、今秋ドラフト1位候補に挙げられる。昨夏の甲子園後にはU-18ワールドカップの高校日本代表に2年生で唯一選出され、事実上のエースとして銀メダル獲得に貢献した。今春センバツ後に左肘の靱帯を負傷し、今夏は背番号10でDHとして出場を続けながら全試合安打・打率.421と打撃でもチームを支えた。7月18日の準決勝・名護戦で121日ぶりに復帰登板して6回無失点、決勝では9回に救援して最速147キロを計測し、2年連続の甲子園切符を締めくくった。史上7校目の夏連覇と、エースナンバー奪還が期待される。

















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