第108回全国高校野球選手権奈良大会は7月20日、さとやくスタジアムで3回戦が行われ、今春のセンバツで準優勝した智弁学園が奈良大付に6―9で敗れ、3回戦で姿を消した。今秋のドラフト候補に挙がるプロ注目左腕・杉本真滉投手(3年)は猛暑日となったマウンドで左足をつるなどアクシデントに見舞われながら140球を投げ抜いたものの、7回8安打6失点で降板した。この日は5人態勢の福岡ソフトバンクなどNPB9球団のスカウトが集結したが、最後の夏はあまりに早く終わった。
初回に4点の援護も、2回に突然の乱調でリードを吐き出す
試合は智弁学園が初回、4番・逢坂悠誠一塁手(3年)の右前適時打などで一気に4点を先制し、奈良大付のプロ注目右腕・新城楓雅投手(3年)を一気に攻略する展開となった。しまし、こちらもプロ注目の左腕・杉本真滉投手が2回、突然制球を乱す。先頭への二塁打などで2死満塁を招くと、内野安打で1点を返され、辻本泰盛遊撃手(3年)に左翼線への適時二塁打を浴びた。さらに左翼手が打球処理にもたつく間に走者全員が生還し、わずか1イニングで4点のリードが消えた。
4回に再び2点の援護をもらったが、5回に1点差へ詰め寄られる。試合展開だけでなく、この日の酷暑もエースの体力を確実に削っていた。「四球が多かったし、リズム、テンポよく投げられなかった部分もある」(サンケイスポーツ)と、杉本投手は自らの投球を悔やんだ。
主将の緊急搬送、そして7回の足つり、それでも「投げます!」
チームには不測の事態が続いた。6回には正捕手で主将の角谷哲人捕手(3年)が熱中症の症状で救急搬送され、急きょ1年生の殿垣内大祐捕手がマスクをかぶった。1点リードで迎えた7回には、杉本投手自身がマウンドへ向かう際に左足をつる。ベンチで氷のうを頭付近に当てられるなど5分を超える治療を受けたが、「投げます!」と自ら志願して続投した。
しかし2死を奪った後、指名打者の堤健太朗選手(3年)に右翼席への同点ソロを浴びる。ここで降板し、7回140球、被安打8、5四球、6失点(自責5)で投球を追えた。8回からは指名打者で先発していた背番号9の太田蓮外野手(2年)がリリーフしたが、連続四球と味方の失策が絡んで勝ち越されると、スクイズと適時二塁打も許して3点を奪われた。杉本投手はその光景を、ベンチから見つめるしかなかった。
涙をこらえた背番号1、進路は「もう一度考え直す」
敗戦後、大半の選手が泣き崩れる中で、杉本投手は涙を見せなかった。「この負けは僕が背負うもの。周りが泣く必要はない」(スポーツニッポン)。そして「エースとしての仕事ができていなかった。自分が全て悪い」(スポーツ報知)と、敗戦の責任を一身に背負った。それでも「仲間がいたからこそ、充実した高校生活だった。感謝したい」「一人では何もできないということを学んだ高校野球でした」と、3年間を支えた仲間への感謝は忘れなかった。
この日は最速147キロを計測し、福岡ソフトバンクが5人態勢で視察するなど、9球団のスカウトが視察に訪れた。この日の結果によってその評価が揺らぐことはないだろう。以前から高卒プロ志望を公言してきた左腕は、進路について「まだ…。もう一度考え直す」と話すにとどめたが、これから侍ジャパンU18代表の選考過程に進むものと見られ、その過程でプロ志望を表明するものと見られる。
センバツで3完投を挙げて準優勝に導いた左腕が、この悔しさを次にどう晴らすのか、注目が集まる。
【杉本 真滉】 プロフィール
- 氏名:杉本真滉(すぎもと・まひろ)
- 所属:智弁学園高校(3年)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速149キロを誇る今秋ドラフト候補の左腕で、今春のセンバツでは3完投を挙げてチームを準優勝に導きブレークした。最後の夏となった奈良大会3回戦では、35度を超える猛暑の中で左足をつるアクシデントに見舞われながらも志願して続投し、7回140球8安打6失点。この日も最速147キロを計測し、NPB9球団のスカウトが視察に訪れた。以前から高卒プロ志望を公言しており、強気の投球を武器に次のステージでの飛躍が期待される。





































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