今夏の富山大会で全国を沸かせた高岡第一・前田侑大投手(3年)の夏が終わった。23日の準決勝で強豪・高岡商に2-5で敗れ、45年ぶりの夏の甲子園にはあと2勝届かなかった。前田投手は1-4の4回から3番手で救援し6回1失点6奪三振と力投したが、逆転は呼び込めなかった。今夏は最速156キロを計測し、無安打無得点試合も達成。全4試合で23回2/3を投げ、失点はわずかに1、防御率0.38という圧倒的な成績を残した。この日は阪神が5人態勢で視察しているが、注目の進路については「甲子園に行けばプロ」だったと話した。
救援も逆転呼べぬ準決勝敗退
富山では最多となる夏の甲子園出場22回を誇る名門・高岡商との一戦。村本忠秀監督は前田投手の疲労を考慮し、エースをベンチスタートとした。先発した2年生の木村力投手が1死から2本の長打を含む5連続安打を浴びて一挙4失点。高岡第一は序盤から大きなビハインドを背負った。
前田侑大投手は1-4の4回からマウンドへ上がった。先頭に中前安打を許したが後続を断ち、4、5回を無失点で切り抜けた。しかし味方が1点を返して迎えた6回、先頭の6番・溝口琉生選手に三塁打を許すと、続く棚辺向日歩選手に右前適時打を打たれ、今夏初失点でリードを3点に広げられた。それでも崩れることなくこの失点のみに留めると、9回2死からは1-2の場面で外角に投げ込み見逃し三振。力強くガッツポーズを作った。3番手で6回を4安打1失点、6奪三振。試合を立て直したが、打線の援護は呼び込めなかった。
初戦156キロ、3回戦ノーノー、全国区に駆け上がった夏
前田投手は1年時、球速140キロにも満たない無名の投手だった。「周りと同じ努力をしても甲子園に行くのは難しい。みんなを連れて行くためには人一倍努力をしないといけない」。人一倍の練習を積み重ね、春の大会で球速150キロに到達すると、一躍注目を浴びる存在となった。
今大会での飛躍は目覚ましかった。初戦の富山工戦で高校生左腕としては最速タイの156キロをマーク。続く3回戦の富山北部戦では20奪三振で無安打無得点試合を達成し、注目度はうなぎ登りとなった。準々決勝の石動戦も救援登板するなど、フル回転で勝ち上がってきた。
この日、球場にはNPB10球団のスカウトが集結し、阪神は竹内球団副本部長など5人態勢で視察をし、スカウトのスピードガン計測では152キロをマークし、球速に衰えはなかった。各球団の評価も高い。
阪神・吉野スカウト:「直球が速くて強いのが魅力。球団によっては(ドラフト1位も)あり得る」
横浜DeNA・八馬幹典アマスカウティンググループリーダー:「投げ方に躍動感があり、大きくない体でこの球速を投げるのは魅力」
巨人・森中スカウト:「投げ続けても出力を維持できる高校生は、なかなかいない。スピードガンの数字だけでなく、投げっぷりの良さや気持ちの入った立ち振る舞いでもベンチを鼓舞し、スタンドを沸かせることができる。プロ向きの根性を感じる」
千葉ロッテ・榎アマスカウトディレクター:「高校生の中では上の方」
この夏の注目株を各球団が視察をした。
「甲子園に行けばプロ」だった進路、悔しさの先へ
試合終了の瞬間、ベンチでこらえていた涙が一気にあふれ出た。「悔しいというのが一番。チームを甲子園に連れて行くことができなかった」。前田投手は目を赤くして悔しさを吐露した。どれだけ誇らしい成績を残しても、一度も立てなかった聖地を思うと涙がこぼれた。
進路については明言を避けた。「甲子園に出ることができれば、プロ志望届を出そうと考えていました。ただ県大会で負けてしまったので…。これから考えます」(スポーツニッポン)と話し、大学進学も選択肢として熟考を重ねる。それでも「最終的にプロに行ける目標を持ってやっていきたい」と、視線はその先を見据えている。無名の左腕がひと夏で全国区へと駆け上がった。聖地で投げることは叶わなかったが、その剛球の魅力は確かに全国へ届いた。
おそらく侍ジャパンU18代表入りをするのは間違いない。そこで横浜の織田投手や沖縄尚学の末吉投手、聖隷クリストファーの高部投手などと再び会うことで、今度は進路についての情報交換もすることだろう。プロ志望届を提出すれば1位か2位で指名されると予想される前田投手、甲子園でその名前を聞くことはできなかったが、侍ジャパンの舞台で、そしてドラフト会議でその名前を聞けることを楽しみにしている。
【前田 侑大】 プロフィール
- 氏名:前田侑大(まえだ・ゆうと)
- 所属:高岡第一高校(3年)
- 出身:富山県高岡市(南星中では軟式野球部に所属)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:173cm、72kg
- 主な特徴や実績:1年夏に背番号18でベンチ入りし、2年秋からエースナンバーを背負った左腕。1年時は140キロに満たなかったが、人一倍の努力で急成長し、今夏は高校生左腕最速タイの156キロを計測した。球種はスライダー、チェンジアップ、フォーク、2種類のカーブ。3回戦では20奪三振で無安打無得点試合を達成し、今夏は全4試合で23回2/3を1失点、防御率0.38という圧巻の内容。甲子園には届かなかったが、今秋ドラフトの上位候補として大きな注目を集めており、さらなる成長が期待される。


















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