全日本大学野球選手権の2回戦が神宮球場で行われ、5年ぶり13度目の出場となった慶大(東京六大学)が、16年ぶり4度目の出場となった函館大(北海道学生)を7対0の8回コールドで下してベスト8進出を決めた。先発マウンドにはエースの最速151キロ左腕・渡辺和大投手(4年)が立ち、伸びのある直球と鋭く変化するツーシームなどを武器に、6回2安打無失点、10奪三振の圧巻のピッチングを見せ、日米のスカウト陣もその投球に頷いた。
流れを支配した「初回のじっくり投球」、函館大の勢いを封じた丁寧な立ち上がり
慣れ親しんだ神宮のマウンドで、慶大のエース・渡辺和大投手がらしい投球を見せた。対戦相手の函館大は、1回戦で全国大会常連の上武大を撃破して勢いに乗る中で、渡辺和大投手は「前の試合がコールドだったこともあって、準備不足で四球を出してしまった」(サンケイスポーツ)と振り返る通り、初回先頭打者に四球を与える。しかし、「野球は流れのスポーツ。一番嫌だったのが、初回に本塁打を打たれて打線を乗らせること。初回からじっくり、じっくりと相手が何を狙っているかを考えながら投球ができた」と、慌てることなく相手を観察、初回にイニング別で最多の23球を費やして無失点で切り抜けると主導権を握った。
2回以降は完全に相手打線を手玉に取り、二回の3者連続を含む毎回の10奪三振を記録。「全体的にはストライク先行で、打者に的を絞らせない感じで投球ができた」(スポーツ報知)と胸を張る通り、6イニングをわずか2安打無失点に抑え込んでコールド勝ちの呼び水を呼び込んだ。
時折マウンドの柔らかさにバランスを崩す場面もあったが、そこはホームグラウンドということもありすぐに対応すると、走者を背負った場面こそギアを上げて狙って三振を奪うマウンドでの支配力を発揮した。三振についても渡辺和大投手は、「三振は味方のエラーも引き出すことがない、チームにとって安全な結果。だからいつも狙っている」(日刊スポーツ)と語った。
日米スカウト陣がうなずく高い安定感
エースの好投を、強力な慶大打線ががっちりと援護した。2回裏に丸田湊斗選手(3年)の中犠飛で1点を先制すると、3回裏には林純司選手(3年)の適時二塁打などで2点を追加。5回裏にも一宮知樹選手(3年)の2点適時二塁打などで加点し、最後は連続の押し出し四球で試合を決めた。投打が完全に噛み合った戦いぶりに、慶大を率いる堀井哲也監督は、「コンディション的に難しいところもあったと思うけど、非常に丁寧に投げていた。それが一番の勝因」(サンケイスポーツ)と、エースの丁寧なピッチングを称えた。
今春のリーグ戦では最多となる7勝を挙げ、防御率1.28で最優秀防御率とベストナインを獲得して完全優勝に貢献。一躍ドラフト上位候補へと駆け上がった左腕に対し、ネット裏に集結した日米スカウト陣からは絶賛の声が並んだ。
巨人・斉藤スカウト:「立命大・有馬(伽久)、関大・米沢(友翔)、大商大・星野(世那)など、今年はいい大卒左腕がそろう中で、同じようなラインまで評価が上がってきている」
阪神・平塚スカウト:「勝てる投手。大黒柱で、安定感がある」
高評価が相次ぐ中、渡辺和大投手は、「チームを勝たせるピッチャーがプロにいける。誰が見てるとかは関係なく、チームの勝利のために投げる」(サンケイスポーツ)と語り、自身の個人の評価よりもチームの目標達成を最優先にする確固たる覚悟を示した。
慶大が目指すのは、春季リーグ戦、全日本選手権、秋季リーグ、明治神宮大会をすべて制する「4冠」の頂点。「僕たちは4冠を目指している。しっかり優勝を取らないと何も意味がない。そこだけを目指して、一戦一戦頑張りたい」(スポーツ報知)と力強く語った左腕は、連戦となる準々決勝に向けて、「行けって言われたところはしっかり抑えられるように、いつでもいける準備をしたい」(サンケイスポーツ)と笑う。絶対的エースの自覚を胸に、日本一を目指す。
【渡辺 和大】 プロフィール
- 氏名:渡辺和大(わたなべ・かずひろ)
- 所属:慶應義塾大学(4年)
- 出身:香川県坂出市(高松商業高校出身)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:180cm、75kg
- 主な特徴や実績:自己最速151キロ。高松商高時代は2年夏と3年夏に甲子園出場を果たし、3年夏にはベスト8進出を記録。慶大進学後は2年秋に最優秀防御率に輝き、4年春はリーグ最多の7勝を挙げて投手4冠と完全優勝を達成。全日本大学野球選手権2回戦の函館大戦では、キレのある直球と鋭いスライダーを武器に6回10K無失点の快投。上田誠コーチとの二人三脚で習得したツーシームや2段モーションを武器に、日米スカウト注目の今秋ドラフト上位指名候補左腕。















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