育成ドラフト1位ルーキー・松井颯投手が初登板初勝利、引退した159キロ右腕・谷井一郎投手の思いも胸に

巨人ルーキーニュース

明星大から育成ドラフト1位で巨人に指名された松井颯投手が、1年目の今年、5月15日に支配下登録をされ、5月22日の1軍プロ初登板でプロ初勝利を挙げた。ドラフト時はドラフト上位指名候補にも名前が挙がっていた。

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ドラフト指名のあや

松井颯投手はこの日、初回から高めの最速151キロのストレートに伸びがあり、得意のスライダーで面白いように空振りを奪った。また、左打者には得意のシンカーを使い、中日打線を5回2安打無失点に抑える快投を見せた。チームは5-2で勝利し、育成出身ルーキーが5月にプロ初勝利を挙げた。

大学は首都大学リーグ2部の明星大でプレーし、最速154キロの球を投げ、相手を見下ろしてテンポよく力のある球を投げ、無双の投球も見せていた。首都リーグ2部ということで注目度は高くなかったものの、ドラフト会議時は上位指名があってもおかしくないという評価だった。

巨人もその松井投手を支配下で指名する評価をしていたという。しかし、水野スカウト部長は球団の指名方針として「支配下の評価はしていた。支配下でいきたかったけど田中千晴投手でいって。あとは変則投手と決めていた」と、ドラフト3位で田中千晴投手を指名し獲得できたことで、松井投手の指名は諦めていた。

しかし、支配下ドラフト指名69人が終わった時点で松井投手が残っていた。水野スカウト部長は「ビックリして慌てて育成1位で指名した」と育成ドラフト1位で指名したという。

159キロ右腕との出会い

松井投手は花咲徳栄時代に3年夏の甲子園で背番号15をつけて出場している。しかし、控え投手で終わったこともあり、高校で野球はやめようと考えていた。しかし、その甲子園での投球で141キロを記録し、大学に進んで野球を続ける事を決めた。

進学した明星大に進むと、武蔵村山高出身の谷井一郎投手がいた。谷井投手は独特のフォームから最速159キロの速球を投げて話題となり、その投球を近くで見ていた松井投手も影響を受けた。松井投手は理工学部で物理学を学んでおり、投球フォームや球の回転数を研究し、自らの投球フォームの歩幅は6.75足分が理想であることを割り出した。研究の成果もあり最速は154キロまで伸びた。「谷井との出会いで野球人生が変わったと思います」と話している。

そして別れがあった。ドラフト会議では松井投手が指名される中で、同じく指名を待っていた谷井投手には指名がなかった。「早く1軍で活躍できるように頑張れよ」とお祝いと励ましの声をかけた谷井投手だが、部屋に1人戻って涙を流していたという。

その谷井投手は、ドラフト会議から約3週間後に引退を決めたという。母親の手で育てられた事もあり、野球を続けるのではなく就職して働くことを決めた。松井投手から「自分の分もプロで頑張って欲しい」と夢を託され、松井投手は一人、プロの舞台に上がって見事に勝利を掴んだ。

もし、大学でプレーしていた舞台が、せめて1部リーグだったらどうだっただろう。松井投手はドラフト上位で指名され、谷井投手も育成ドラフトで指名されていたのではないかと思う。昨年春に谷井投手の大学唯一の先発の試合を見たが、制球が時折荒れるものの、松井投手よりも豪快なフォームからのストレートは威力があり、変化球も空振りを奪える球だった。

二人分の力で支配下から1軍初勝利を掴んだ松井投手、そして、その松井投手の投げる球に、さまざまな思いをかける人は他にも多くいる。

2022年ドラフト会議指名選手一覧
2022年のドラフト会議は10月20日に行われ、支配下ドラフトが69人、育成ドラフトで57人の、合わせて126人が指名されました。
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 巨人の育成ドラフト1位・松井颯投手(22)が、球団史上初の育成新人初登板初勝利を挙げた。中日戦に先発して5回を2安打5奪三振1四球で無失点。68球の力投で歴史を刻んだ。

水野スカウト部長は松井について「支配下の評価はしていた。支配下でいきたかったけど(3位で)田中千晴投手でいって。あとは変則投手と決めていた」と説明。1、2位で外野手の浅野、萩尾、3位で田中千、4位で内野手の門脇、5位でサイド右腕の船迫(ふなばさま)を指名。編成上の人数の都合もあり、支配下はここで打ち切った。

【とっておきメモ】プロ初勝利の巨人育成1位松井颯、親友から託された思いが大きな原動力 - プロ野球 : 日刊スポーツ
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松井は育成指名された一方で、明星大で同期の159キロ右腕・谷井さんは名前を呼ばれず指名漏れした。松井に「早く1軍で活躍できるように頑張れよ」と人前では気丈に背中を押しながら、部屋に1人戻って流した谷井さんの涙は、今も忘れない。

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