JFE東日本が日本選手権出場を決めた。昨年もドラフト候補として名前の挙がっていた峯本匠選手が、貴重な追加点を挙げた。
恩返し
峯本匠選手は大阪桐蔭時代、3年夏の甲子園で打率5割で5打点、準決勝の敦賀気比戦でホームランを放つなど注目され、日本一も手にした。
しかし、立教大では4年間で出場が24試合、打率も.180と結果を残せなかった。「野球をやりきった感がありました」と高校で燃え尽きた感じがあり、「大学生がやる遊びは全部やりました。毎日がパラダイスでした」と話す。4年春には怪我をして「やる気スイッチが完全に切れました」と話した。
しかし、JFE東日本の落合監督が「もう1度、社会人野球で頑張ってみないか」と熱心に誘い、「ちゃらんぽらんな自分を採用するのは相当な覚悟がいる。落合さんの顔を立てたい」とJFE東日本では再びスイッチを入れた。そして1年目の都市対抗で打率.412を記録して優勝に貢献、再び日本一を勝ち取った。
昨年も都市対抗に出場し、プロのスカウトが注目する活躍をみせた。ドラフト会議で指名はなかったが、3年目の今年、この日の日立製作所戦でも3番セカンドで出場すると、2−1の5回に貴重なタイムリーヒットを打ち、3−1で勝利して日本選手権出場を決めた。
峯本選手は「また1回、監督に恩返しができたのかなと思います。現役の間はずっと恩を返し続けたい」と話す。これからもチームに貢献する打撃で、落合監督を全国大会へと導き続ける。
だが、輝く才能を錆びつかせていた峯本に声をかけた人がいた。JFE東日本・落合成紀監督は「もう1度、社会人野球で頑張ってみないか」とオファーを出した。想定していなかった誘いに峯本は驚いたが、それ以上にある思いがこみ上げてきた。「“ちゃらんぽらん”な自分を採用するのは相当な覚悟がいる。落合さんの顔を立てたい」。スイッチは再びオンに。消えた天才は社会人野球の強豪・JFE東日本でリスタートを切った。
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